2012年10月31日水曜日

たわわな赤い実

本日の山中湖:最低2℃、最高13℃、晴れ時々曇り
このところ一気に色づきが進んだ林内、今週末ぐらいに紅葉のピークを迎えそうです。
その中でもひときわ目を引く木があります。
赤いのは、葉ではなく、実です。それにしても、こんなにたわわに実が付くとはすごいですね。
近づいてみると、こんな感じです。
これは、マユミ(Euonymus sieboldianus)です。漢字では「真弓」、かつて材は弓に使われたようです。
白く柔らかな材で、こけしの材料にも使われたといいます。
マユミなどニシキギ科の植物の樹皮は、シカが好むようで、冬にはしばしば樹皮が食い剥がされてしまいます。この木もこの冬を乗り切ってくれればいいのですが。
林内には他にもニシキギ科の植物として、コマユミ、ツリバナ、ツルマサキ、ツルウメモドキがありますが、どれも同じような赤い美しい実をつけます。

2012年10月13日土曜日

特別ガイド「キノコに親しむ」2012

本日の山中湖:最低4℃、最高19℃、快晴
毎年恒例となった東大教職員向けの特別ガイド「キノコに親しむ」が今年も開催されました。天気に恵まれ、皆さん意気揚々と森の中へキノコ探しに入り込んでいきます。
今年はキノコの出始めが遅れていましたが、先週末から続々と顔を出し始めました。あちこちでキノコが見つかり、あそこにも、ここにも、と歓声が上がります。ただ、あと3日早ければ…、という感じでちょっと古くなったキノコが多かったです。
キノコを食べる場合、注意しなければならないのが、毒キノコの存在と、古いキノコによる中毒です。お昼には採ったキノコでキノコ鍋をするので、念には念を、ということでなるべく若いものを選んで採っていきます。
午後は3つの組に分かれて、キノコ観察・採集。それぞれ違う樹種のある環境を歩いているので、採集されるキノコにも森の違いがみられて面白かったです。モミの仲間に生えるウスタケ、アカマツに生えるクギタケやハツタケは、それぞれの班が歩いた森林の特性をよく表していました。
今回はみんなそろって山中寮の前で記念撮影。これを機にキノコに親しんでいただければいいですね。



2012年10月12日金曜日

フットパスの研修旅行

10月9日から11日の3日間、富士癒しの森研究所の全スタッフで北海道へフットパスの研修旅行に行ってきました。
「フットパス」とは、ごく単純に言えば「歩くための道」ですが、歩くことを楽しむための道でもあります。歩くことを楽しもう、とアイデアと労力を持ち寄り、日本各地で地域住民主体のフットパスづくりが広がり始めています。「癒しの森プロジェクト」でもフットパスは、森林を楽しむ重要な要素として、そしてフットパスを創る・維持する作業自体も楽しめる活動として、着目しています。
山梨県でも多く設定されてきていますが、今回は先進地であり、地域に十分浸透し始めている北海道に出かけてきました。
最初に訪れたのは、北海道大学の苫小牧研究林。市民が親しめる森林として整備されてきたことで知られており、我々が訪れたときも、多くの市民の方々が思い思いに散策を楽しまれていました。
我々も全く予想していなかったサプライズで、この整備を進めてこられた元林長に偶然にもお会いすることができ、整備方針や経緯などをお聞きすることができました。(詳しく知りたい方はこの本がお薦めです。)
次に訪れたのは、苫小牧東部工業団地。団地の大部分が緑地のまま維持されることになっており、そこで近年、市民による森づくり、フットパスづくりが行われ始めています。
地域住民らでNPO法人が結成されており、薪ストーブの薪を作りがてら森の見通しを良くし、フットパスを開設する、という取り組みが行われています。
森林療法を取り入れている地元の精神科医の方と意見交換する機会もアレンジしていただいたのですが、印象的だったのが、森の中で活動することは、体の生理的を改善するだけでなく、人の社会性、コミュニケーション能力を高める、ということでした。そして治療を要する人にとってだけでなく、普通の人にとって意義のある、「プライマリー・ケア」として位置づけられるということでした。身体的にも精神的にも豊かな状態を保つ、そのための日々の営みとして森との付き合いがあり、そのためのインフラとしてフットパスは重要な要素なのかもしれない、と考えさせられました。
また、人によって何を楽しみと感じるかも千差万別であるというのも興味深い点でした。
ここで作られてきたフットパスは、林床のササを刈り払っただけの簡単なものです。道を開いた後は年に数回、刈り払い機でメンテナンスをするそうですが、林業関連に携わるものとしては「夏の下刈り」はもっとも嫌がられる仕事の定番ですが、これも好き好んでやられる方がいらっしゃるんだそうです。そうなると、維持管理も煩雑どころか、一つの魅力となりうるということです。
ここでは、この2,3年で数キロの道を開き、維持しているということで、ボランティアの作業量・内容でやれることの可能性を知りました。
2日目は平取町の「けもの道フットパス」を視察しました。「けもの道フットパス」って何だろう、と思っていましたが、無数に走るけもの道をつないでフットパスのルートを設置したので、このように読んでいるそうです。もちろん、まだまだ「けもの道」としても使われていて、ところどころに新鮮なシカの足跡を見ることができました。
無理やりルートを決めても、心地よく歩けなければ、だれも歩かなくなったり、横道が作らてしまったりするもののようですが、ここの場合、獣たちが作ってきた、いわば実績のあるルートをそのままフットパスとして活用しているのがユニークですね。
この日の午後は、上富良野町を訪れて、この町のフットパスの仕掛け人の方と一緒に農道を活用したフットパスを視察しました。農地の合間を縫う部分が多く、見通しのよさと解放感が特徴的でした。それにしても十勝連峰の山並みは絶景でした。
これまで見てきたフットパスは、複数の土地所有にまたがらない形で作られていましたが、ここの場合は、いくつもの私有地、町有地をとおってルート設定されていて、それぞれの土地所有者に交渉する過程の話をうかがうことができたのも収穫でした。そして、フットパスができたことにより、町民の自意識が変わってきた、町民からも感謝されてきている、というお話が印象的でした。
フットパスにとって最大の課題はトイレ、ということで、最終日は旭川にあるバイオトイレのメーカーさんを訪問しました。仕組みとしては、おがくずなどの木クズを使い、加温・攪拌しながら不要な水分の蒸発、排泄物の分解をするというシンプルなものでした。
お話をうかがうと、そもそも「水で流す」と真逆の、「いかに水分を除くか」という発想に基づいているため、自然の中のトイレということもさることながら、都市の下水問題、災害時のトイレ問題に解決に貢献しうるものだということで、もっと社会全体でこういうタイプのトイレについて、認識が深まる必要があると考えさせられました。
また、木クズはチェーンソー屑やチップなどでも良い、むしろオガクズより良いのでは、ということで、森林整備とうまくつなげられる可能性も感じました。

足早の視察旅行でしたが、非常に中身が濃く、充実した3日間でした。
富士癒しの森研究所では、初冬を目途に、フットパスを題材としたワークショップを開催することを予定しています。詳しいことが決まり次第、アナウンスいたします。

2012年10月3日水曜日

ストーブ火入れ

本日の山中湖:最低14℃、最高17℃、曇り
いよいよ待ちに待ったストーブの火入れが行われました。ひんやりとしたストーブ日和に火入れ式を行えたことは、何とも幸先がいいです。
まずは、火の神様におごそかに(?)火の回りの安全を祈ります。
薪・ペレット兼用ストーブですが、最初はペレットでの火入れとしました。初めての火入れはなかなかコツがつかめていなくてちょっと手こずりました(汗)。

それでも、なんとか安定した燃焼に移行。輝く炎に見入ってしまいます。
ひととおりペレットが燃えきったあとは、薪でも火入れをしてみました。こちらは普通の日を焚く要領ですので、難なく燃やすことができました。
やかんのお湯も湧き、初めてのストーブ沸かしのお湯でお茶を楽しむこともできました。
もう少し寒くなったら本格運用し、教育展示施設として公開していく予定です。