2015年9月27日日曜日

国際農学実験「山の幸を探る」

昨日の山中湖:最低14℃、最高20℃、曇り
本日の山中湖:最低17℃、最高21℃、曇り
数年前から開講していたものの、受講者がなかったため休眠状態だった、農学部の国際農学開発専修の実習「山の幸を探る」がこの2日間初めて行われました。
今回「山の幸」のターゲットは、食材と染色材に絞ってプログラムが行われました。
演習林を歩きながら、食材となりそうなもの、染色材になるものを採取しました。
今回は、キノコが各地で大発生。特にハナイグチがあちこちに。
初日の夜はさっそく、染色実験に取り掛かります。
時間を見ながら講義を中断しては、染色プロセスを進めました。
今回は4種の植物(アカネ、マメザクラ、ナンブアザミ、ヤマグワ)、4種の繊維(絹、木綿、麻、毛糸)で染色を試しました。
出来上がると以下のように。
横列には、アカネ→ヤマグワ→アザミ→マメザクラの順に、縦列は絹(しぼり)→麻→木綿の順に並べてみました。
2日目のメインは、森の食材を使った調理実習です。
ハチの子を巣盤から取り出したり、

クルミを割って実を取り出したり、山の食材を食べるまでの「手間」も体験してもらいました。
飯炊きは薪でがんばりました。ちょっと火が強すぎたかな…。
ちょっとおこげが多くできちゃいましたが、まずまず成功といえる「森の恵みの炊き込みご飯」ができました。具は、ムカゴ、クリ、ハツタケです。


なんとか12時過ぎには、すべての料理が完成しました。
メインディッシュは、シカ肉のロースト、キノコソースとナツハゼ(ブルーベリーの仲間)ソースを添えてみました。
炊き込みご飯の他に、サンショウの田楽味噌、クルミの田楽味噌でそれぞれ焼きおにぎりも作りました。ご飯ものには、ハチの子の佃煮を添えて。
そしてぬめりのあるキノコたっぷりのキノコ汁でフィニッシュ。
学生の皆さん、初めての味ばかりだったようですが、おいしいおいしいとがっつき、ほぼ完食となりました。

2015年9月16日水曜日

第1回「癒しの森の植生調査隊」が行われました

本日の山中湖:最低13℃、最高18℃、曇りのち雨
富士癒しの森研究所で設定した実証林の植生調査を地域住民のみなさんと一緒にやろうという試み「癒しの森の植生調査隊」が、NPO富士山自然学校さんとの共催で行われました。
(趣旨等はこちら
参加者は予想外に多く17名。一番遠くは福島県から(!)の参加でした。近いうちに移住される計画があるのだとか。
なにせ、住民参加型という形態も、森林内の下層植生に着目する調査方法も初めての経験なので不安が大きかったですが、とにかく遊びのつもりで成果は二の次、楽しくやりましょう、ということで望みました。
3つの班に分かれて、担当調査区に散って、調査スタートです。
調査区はお手製の半径1mの枠です。
この中にある植物の種類、被度(どれほどの面積を覆っているのか)、最大高を記録し、木本植物については、位置を見取り図にメモしていきます。
みなさん、自然好きな方々なので、当初の不安は杞憂でした。調査区内をじーっと覗き込んで新しい種がないか、見つけ出すのが楽しくてしょうがないようでした。
せいぜい一つの区内に10~15種くらいだろうと高をくくっていたのですが、あるわあるわゆうに20種以上が見つけ出されました。こんなに多様性が高いというのは、お蔭様で勉強になりました。
そうこうしていると、あっという間に時間が過ぎて、予定の調査区の半分強が完了したところで、時間切れ。残りの調査区は簡単な観察だけしました。
興味深いことに、強度間伐をして明るくなった調査区では、カラマツの実生が多くみられました。もしかすると、次世代のカラマツが育っていくかもしれません。
午後は、広く林内を散策しました。
長年この村に住んでいても、入るのは初めてだという方もいらっしゃり、今後みなさんがこの森を活用しやすいようにするのは大きな課題だと改めて思い知らされました。
この調査は今後も毎年行っていく予定です。今回調査した調査区は1年後どんな様子になっているでしょうか。
また、今後ともこのつながりを大事にして、この研究所の森が地域のみなさんに愛着を持ってもらえるようにしていきたいと思います。

2015年9月7日月曜日

学生体験プログラム2015

本日の山中湖:最低18℃、最高23℃、曇り一時雨
今年も学生体験プログラムが、今日明日と二日間行われています。
今回は4年生と2年生の学生、計2名の参加です。
雨が心配されましたが、初日は時折降られながらもあまり影響を受けず、屋外での作業を行うことができました。
まずは、柴刈り。このプログラムのタイトルが「癒しの森の森林管理~おじいさんは山へ柴刈りに」となっているので、外すわけにはいきません。
切り口が平らになるように刈取りはノコギリを使ってもらいます。
もはやおなじみとなった柴垣づくり。刈り取った柴の小枝をナタを使って払ってもらいます。
今回の学生さんは筋がよく、ナタ使いにすぐ慣れていました。
太めの柴から作った支柱を2列に打ち込み、それぞれ長い柴で交互に編みこみ、その中に払った小枝を詰め込んで柴垣の完成です。やはり編み込みの作業が楽しかったようです。
次は、うって変わって、おなじ「しばかり」でも、草のほうの芝刈りです。
乗用芝刈り機を使っての湖畔広場の芝刈りを体験してもらいました。
若干覚えることが多いのですが、呑み込みが早く、これもすぐに慣れていました。
芝地は頻繁な管理作業が必要だということに、深く納得していたようでした。
翌日はさらに天候が悪化する予報だったので、もしかしたら、東屋の中で薪割りをすることになるかも、ということで、この日の最後は薪割りの基礎技能訓練。
オノを使っての薪割りを覚えてもらいました。最初はおっかなびっくりでしたが、これもすぐ慣れて、20分ほどもすると、気持ちよく薪を割っていました。

2015年9月1日火曜日

台湾大学および台湾林務局の方が視察に訪れました

27日の山中湖:最低16℃、最高24℃、曇り
28日の山中湖:最低17℃、最高24℃、曇り

台湾大学と台湾林務局および心理学の先生ら総勢8名の皆様が、日本の森林セラピー関連の現場をいろいろ見学される日程の中で、27〜28日に富士癒しの森研究所を訪問されました。

27日は富士癒しの森研究所内の森林を見学していただき、私たちの「癒しの森プロジェクト」についてご説明しました。
台湾の森林を管理する立場の方々がいらっしゃっており、地域住民が森林に入ってさまざまな活動をできるようにするにあたって、やはり安全についての対策が気になっておられるようでした。


富士癒しの森研究所の四阿を見学
研究所内にある山中寮で、夕食をご一緒して懇談しました。山中寮の食事を「全部おいしい!」と絶賛されていました。山中寮は東京大学の関係者向けの宿泊施設なのですが、宿泊代表者が関係者であれば、一般の方も宿泊可能です。

28日は富士箱根伊豆国立公園内の国設の自然学校「田貫湖ふれあい自然塾」を訪問し、そのエリアで行政、民間、大学などが協力して展開している「富士山!カラダの学校」という健康増進プログラムの取り組みについて説明して頂きました。

富士山!カラダの学校を運営する協議会の事務局であるNPOホールアース研究所の大武様による説明
そして、富士山!カラダの学校の提供するプログラムを少しだけ体験することができました。ノルディックウォーキングとヒノキのバスソルト作り体験です。
インストラクターによるノルディックウォーキングの指導

ヒノキを使ったバスソルト作り
ポールを使う事で、ただ歩くことが全身の筋肉をつかう運動になりエクササイズ効果が高まるとともに、歩く事の負荷が全身に分散することでむしろ足への負担は軽くなるという効果があるそうです。私自身の感想としては、ポールを持つ事で、歩く事がスキーのような気分が上がる屋外スポーツに変わる感じがして楽しかったです。
休暇村富士のレストランで昼食
最後は休暇村富士のレストランで昼食をいただきました。台湾の皆様には期待された見学ツアーを提供できたかどうか不安ではありましたが、日本における多様な主体による多様な取り組みの一端を紹介できたとは思います。
森林および自然環境を活用した健康増進、QOLの向上、地域の魅力の向上などに対する期待が各所で高まっている雰囲気を感じていますが、森林の所有者、管理者側の準備や体勢がまだ追いついていないような気がしています。横の情報交換、連携がもっと必要かもしれません。