2016年7月24日日曜日

全学体験ゼミ「癒しの森を創る(夏)」2016

昨日の山中湖:最低15℃、最高24℃、曇り時々晴れ
本日の山中湖:最低14℃、最高25℃、晴れ時々曇り
この週末は4年目となった東大教養学部の全学体験ゼミナール「癒しの森を創る(夏)」の現地講義が行われました。
今回は今まで最多の15人が受講しました。
梅雨がまだ開けていないこともあり、天気が心配されましたが、運良く雨天は避けられ、かえって涼しく快適な2日間となりました。
今回は人数が多いので、まずは3つのチームに分かれて、どんな空間作りをするのか考え、プレゼンをしてアイデアを競ってもらいました。

実現可能性から、2つのチームから出されたアイデアを基本的な計画として採用することになりました。
1つは、丸太を使って新たな歩道整備とアスレチックを兼ねた「癒しの森エリア」の境界柵で、もう一つは、全員が寝転がれるような座敷を整備するというものです。
まずは、歩道整備。

初年度に整備されたエリアから、昨年度に拡張された「やまなカフェ」エリアまでのショートカットルートが新たに設定され、地ならしされました。
そこへ倒されていた太い枯死木を輪切りにして、敷石のように配置しました。

いっぽう、座敷の方は、歩道整備と同様に予定エリアを地ならしした後に、予定寸法の目安として、ロープを張りました。
巻尺だけで現場で直角を割り出すことにも挑戦しました。

角材を根太(基礎)に使うことにしましたが、水平な面ができるように、水準器を使って、角材の設置高さを調整しました。
微妙な調整が続き、学生にとってはちょっとストレスだったようです。

今度は、床材の調整です。
カラマツ間伐材の板が大量にあったので、それを一定の長さに切りそろえて、布ヤスリやベルトサンダーを使って表面を仕上げました。

人数が多いのでなんとか大量の板の調整も終わり、いよいよ床貼りです。
隙間がないように板を敷き並べていきました。

間も無くして床が敷き上がって、全員集合してパチリ。
受講生みんなが乗れるほどの広さの座敷が林内に出来上がりました。

さて、丸太を利用したエリア整備の方は、アスレチック機能を備えた境界柵のほうが残っています。
これは単純に丸太を地面に埋めて立てるだけですが、少しでも長持ちするように、地面に埋まる部分を炙ることによって防腐処理をします。

穴掘り器を使って、1m近い垂直の穴を掘ります。
これがなかなかの重労働でした。

その穴へ防腐処理した丸太を差し込んで、周囲に砂利を詰めて、固く搗き固めます。
これだけやると、ほとんどぐらつかない杭の設置ができます。

杭の高さは、あえてランダムに。
これがなかなかスリルのあるアスレチック施設になりました。

今回は今までにない大人数で、不安もありましたが、適宜作業分担しながらそれぞれが作業に打ち込み、どの計画もそれぞれ完成まで持ち込めました。


2016年7月21日木曜日

レユニオンからのインターン生

本日の山中湖:最低18℃、最高22℃、曇り時々小雨
マダガスカルの東に浮かぶ島で、フランスの一部のレユニオンというところから、東大演習林にインターン生が来ており、昨日から、富士癒しの森研究所で様々な作業を体験してもらっています。
今日は、午前中に湖畔の草刈りを体験してもらいました。
乗用芝刈り機に乗って、湖畔広場の芝刈りです。
レユニオンでも、同じように芝刈りをするそうです。
午後には、長期生態系観測試験地の毎木位置図を作るための測量を体験してもらいました。

驚くほど飲み込みが早く、今回の測量の原理を理解して、難なく機材の操作をしていました。
測られる側のプリズムターゲット設置も体験。2時間ほどで60本ほどの測量をこなすことができました。
この週末には学生実習がありますが、それまで、インターン生には富士癒しの森研究所での各種作業を体験してもらう予定です。

2016年7月17日日曜日

地蜂追う1日

本日の山中湖:最低18℃、最高28℃、晴れのち曇り
夏らしい暑さにしばしば見舞われるようになってきました。
こうなってくると心配なのが、蜂刺されの事故。特に地蜂(クロスズメバチ類)は刈り払い等の作業時に、それとは知らず地中の巣を踏み、怒った蜂に攻撃されることがしばしばあります。
岐阜や愛知の山間部では、地蜂をヘボと呼んで、地蜂獲りと地蜂料理に親しみ、また、若い時期の巣を掘り取って自宅で育てるのを楽しむ地域があります。そんな地方の方々に来ていただき、林内の地蜂の営巣箇所を探索し、蜂刺され事故の起きそうな巣を今のうちに除去する試みが行われました。
来ていただいたのは、全国地蜂連合会の皆さんと、恵那の農業高校のHEBO倶楽部の生徒さん+顧問の先生。高校のHEBO倶楽部は今年できたところだそうですが、防護服(ユニフォーム?)も揃っていて様になっています。
今回は、地蜂連合会のベテランさんに高校生が知識と技術を学ぶ機会となっていました。
地域文化の継承に一役買えたと思うと、喜ばしいです。
まずは、餌に地蜂の働き蜂をおびき出すことから始めます。
餌に寄ってきた働き蜂に小さな小さな肉団子に目印のこよりを結びつけたものを持たせて、放ちます。とても繊細な作業で、見ていても息が詰まりそうです。
放たれた働き蜂は自分の巣めがけて飛んでいきます。
そうしたら、目印を目当てにとにかく走って追いかけます。途中で見失いますが、そうしたら、また餌場に戻って、同じように目印をもたせた働き蜂を放し、見失ったところからまた追跡を始めます。働き蜂は、決まったルートを記憶していて、忠実に同じルートを通るのだそうです。こうして何度か繰り返すと、巣穴の位置を特定することができます。
今回は、午前中で3箇所の巣穴が特定されました。
中には、作業小屋の地面のというのもありました。こうした場所にあると、作業中に巣を刺激してしまい、蜂刺され事故が起こる可能性が高いので、掘り出して巣箱に入れて管理することにしました。
巣を掘り出す前に、巣穴から1mほど離れた地面を叩きます。こうすることによって、働き蜂は巣を防衛しようとして、巣の中にこもるのだそうです。外に出ていた働き蜂が戻るたびに、地面を叩き、なるべく全ての働き蜂が巣にこもってから掘り出しにかかります。働き蜂の多い巣では、1時間も待ち構えて地面を叩き続けるのだそうです。
掘り出した巣は木製の巣箱に入れて、我々の管理下で生育を続けてもらいます。
巣箱に入った蜂は1時間もしないうちに通い始めていました。