2016年10月24日月曜日

アジア・アフリカの皆さん御一行がいらっしゃいました

本日の山中湖:最低4℃、最高13℃、曇り
今日は東京大学のアジア生物資源環境研究センターの皆さんと、そこが招待している海外の学生の皆さんが、大学院の講義を兼ねて富士癒しの森研究所に見学にいらっしゃいました。総勢27名の参加があり、にぎやかに見学がスタートしました。
参加した学生のほとんどは熱帯アジア・アフリカから、ということもあって寒さを心配していましたが、こうした気候の森はとても興味深かったようです。
人工林では、枝打ちをしていないのに枝が枯れ上がって通直な幹が見られる様子は珍しいもののようでしたし、年輪も興味をひくようで、丸太の断片を見ては年輪を数えていました。また、冬芽の存在も珍しかったようです。
大学院の講義では、植生撹乱が一つのテーマになっていたので、湖畔に出て遠くに見える草山や湖畔の水際の植生について観察してもらいました。
事務所周りでは、森林景観整備と木材の燃料利用の実例について解説し、木材を薪にするための様々な道具を見てもらいました。
聞いてみたところ、これまで薪割りをしたことのない人ばかりで、海外の学生向けへもこうした体験を提供していくことは重要なのかもしれません。
最後は癒しの森講義室の見学です。
さすが学生さんは、説明しなくても内装に使われる木材がすぐ目に止まり、これはどういう木材か?何か塗ってあるのか?と聞いてきます。
そして、木肌を撫でてはじっくり木材を鑑賞してもらいました。
こうした機会は、我々が普段あまり気に留めていないことが重要なこともあると気づかせてくれる機会でもあり、ありがたかったです。

2016年10月23日日曜日

全学体験ゼミナール「危険生物の知識(秋編)」2016

22日の山中湖:最低8℃、最高16℃、曇り
23日の山中湖:最低7℃、最高19℃、晴れのち曇り
今年も全学体験ゼミ「危険生物の知識(秋編)」の現地講義が行われました。
1年生を中心に20人の学生が参加しました。
まずは翌日の観察のために、ピットフォールトラップを設置します。
オサムシなどの地表徘徊性の虫が捕まってくれることを願って。
その後、早速林内へ見学へ出かけました。
まず立ち寄ったのが7月に見つけておいた地蜂の巣穴です。ここではしばらく働きバチが元気良く通っているのが観察されていましたが、9月にオオスズメバチの襲撃を受けて巣が壊滅してしまいました。
今回、初めての試みとしてiPadを使って、現場でオオスズメバチに巣が襲撃される様子を見てもらいました。
7月には岐阜県の恵那農業高校のHEBOクラブの皆さん、全国地蜂連合会の皆さんに来ていただき、危険箇所の地蜂の巣を撤去、木箱に移設してもらいましたが、今回もご協力いただいて、自然巣と木箱に移設した巣の収穫の様子を見せてもらいました。
木箱に移設した巣は、木箱の大きさの限界まで成長しており、計測すると1.35kgありました。これは、餌を与えずに自然に育つものとしては、かなり大きなものだそうです。
ゼミの受講生もちょっと遠巻きながら、興味津々の様子でした。
巣の中の「蜂の子」の中でも、蛹になったばかりの白いものは、生で食べても美味しいそうで、薦められて試している学生も多くいました。
その後、危険な植物の観察やきのこ採取をしながら、山中寮へ戻りました。
山中寮では、林内で採取された植物やきのこを用いた実験です。
かつて行われていた魚毒漁を実験で確かめる実験、またかつてハエトリなどと呼ばれていたキノコの効果を試す実験などに取り組みました。
キノコの実験は一晩おいてから効果を確認します。
夜には特別ゲストとして、ハチの生態に詳しい昭和大学の萩原先生に来ていただいて、ハチへの接し方を考える基礎となる様々なお話をいただきました。
人を指すハチは実はそれほど多くないこと、ハチの毒自体はあまり強くないこと、怖いのは人の体の反応でこれが人によって様々であることが、詳細なデータや経験談を交えてわかりやすく解説していただきました。

2日目は、まずピットフォールトラップの結果を確認。
去年はなかなか大物が掛かっていたので期待したのですが…、今年は残念ながらおめあての地表徘徊性昆虫は見つかりませんでした。が、ムカデなど、人に危害を加える可能性のある虫が確認できました。
最後のプログラムは、実習で使った魚や植物、付近のキノコを使った調理実習です。
中でも地蜂の巣から「蜂の子」を取り出す作業が手間がかかって大変でした。
恵那農業高校の皆さんに指導いただきながら、丁寧に、そして時に大胆に取り出していきます。
この作業を「ヘボ抜き」というのだそうです。
味噌汁用に山中寮の付近に発生していたヌメリスギタケモドキ、ウスヒラタケを採取してもらいました。
実験に使ったニジマスは炭火で焼いて、サンショウの実をすりつぶして作った田楽味噌を塗ってさらに炙って、焼き魚田楽として美味しくいただきました。
最後に、昼食を食べながら、全国地蜂連合会・顧問の立教大学・野中先生に昆虫食のいま・未来について、文化の大事さに触れながらお話しいただけました。
危険生物という切り口ながら、我々の自然に対する文化にも考えを広げる学習の機会になったのではと思います。

2016年10月18日火曜日

国立台湾大学生のエクスカーション

本日の山中湖:最低10℃、最高23℃、曇り
先週から東京大学演習林には国立台湾大学の学生さんが海外学習にいらっしゃっています。
先週いっぱいは北海道、そののち愛知の生態水文学研究所、東京の農学部キャンパスと見学を重ね、最後の見学地として富士癒しの森研究所にいらっしゃいました。
訪問した学生さんは4目。まずは講義室で、当研究所の課題と取り組みについて簡単に説明してから林内見学のスタートです。

ちょうど技術職員による間伐の研修が行われていたので、間伐の一部始終を見学してもらい、間伐の難しい点や、当研究所で取り入れている安全性と簡便性を追求した技術について知ってもらえました。

森の中では運良くヤマブドウも見つけることができ、美味しいと好評でした。
葡萄はあちらでも同じ漢字を書くので、筆談でうまく伝わりました。
サンショウは日本では山椒ですが、あちらでは花椒ということで筆談を通じながら話が盛り上がりました。

事務所に立ち寄った際には、どうしてもやりたい、というリクエストがあり、急遽、薪割り体験をすることに。今までやったことがないのだそうです。
4人ともなんとか割ることができ、盛り上がっておりました。
最後にレポートを書いてもらって解散となりましたが、中には、将来的に日本で勉強したいと書いてくれていた学生もいました。
国際交流の機会は大事にしていきたいですね。

2016年10月5日水曜日

間伐木の選木

本日の山中湖:最低13℃、最高24℃、曇りのち雨
昨年に引き続き、富士癒しの森研究所では、今年も寒地性樹種試験地の間伐を予定しています。
今月には間伐作業が行われるということで、急いで間伐対象となる木の剪定を行いました。

今年、間伐を予定しているのはチョウセンゴヨウマツ、アカエゾマツ、シラビソです。
直径階ごとの目標本数を定めた上で、空間配置を考慮しながら、間伐対象となる木を選んでマーキングしていきました。
今年も全体で数百本ほどの伐採木が発生する見込みです。
昨年度は、木材搬出作業会を実施しましたが、今年度も地域の皆さんに間伐材を提供できるような催しを考えております。
詳細が決まりましたら、当ブログなどでお知らせしますので、ご期待ください。

2016年10月1日土曜日

特別ガイド「キノコに親しむ」2016

本日の山中湖:最低14℃、最高19℃、くもり一時霧雨。
毎年恒例となっている東大教職員向け秋の特別ガイド「キノコに親しむ」が今年も開催されました。
天気が心配されていましたが、なんとか霧雨程度で済み、キノコを探しながら歩くには、あまり気にならない空模様でした。
今年も41名と多くの方に参加いただきました。
今年の秋はあまりに雨続きだったためか、あるいは冷え込みが弱いためか、キノコの発生が低調です。ようやく本命のハナイグチが出始めていますが、まるで店頭で売っているナメコのような大きさで、見つけるのに苦労しました。
そんな状況にもめげず、参加者の皆さんは黙々とキノコを探していました。
少し大きな群生を見つけると、大興奮。立ち並んだキノコたちの写真撮影会をひとしきりしてからお昼の食材として収穫しました。

心配していましたが、それなりに食べられるキノコの収穫があったので、恒例の焼きキノコとキノコ汁を作って皆さんの昼食時に提供しました。
キノコが嫌い、と言っていたお子さんも、焼きキノコを黙々と食べていました。
午後は、二手に分かれて、とにかくたくさんの種類のキノコを集めることを目的にして林内を散策しました。
こんな鮮やかなキノコにも出会えました。これはアカヤマタケ。透き通るような傘の赤と柄の黄色が、森の中で異彩を放っています。
最後に、皆さんが集めたキノコをずらりと並べて、本日のまとめ。
条件が厳しいながらも、なかなかたくさんのキノコが見つかって、皆さんにそれなりに楽しんでいただけたのではと思っています。