2016年10月23日日曜日

全学体験ゼミナール「危険生物の知識(秋編)」2016

22日の山中湖:最低8℃、最高16℃、曇り
23日の山中湖:最低7℃、最高19℃、晴れのち曇り
今年も全学体験ゼミ「危険生物の知識(秋編)」の現地講義が行われました。
1年生を中心に20人の学生が参加しました。
まずは翌日の観察のために、ピットフォールトラップを設置します。
オサムシなどの地表徘徊性の虫が捕まってくれることを願って。
その後、早速林内へ見学へ出かけました。
まず立ち寄ったのが7月に見つけておいた地蜂の巣穴です。ここではしばらく働きバチが元気良く通っているのが観察されていましたが、9月にオオスズメバチの襲撃を受けて巣が壊滅してしまいました。
今回、初めての試みとしてiPadを使って、現場でオオスズメバチに巣が襲撃される様子を見てもらいました。
7月には岐阜県の恵那農業高校のHEBOクラブの皆さん、全国地蜂連合会の皆さんに来ていただき、危険箇所の地蜂の巣を撤去、木箱に移設してもらいましたが、今回もご協力いただいて、自然巣と木箱に移設した巣の収穫の様子を見せてもらいました。
木箱に移設した巣は、木箱の大きさの限界まで成長しており、計測すると1.35kgありました。これは、餌を与えずに自然に育つものとしては、かなり大きなものだそうです。
ゼミの受講生もちょっと遠巻きながら、興味津々の様子でした。
巣の中の「蜂の子」の中でも、蛹になったばかりの白いものは、生で食べても美味しいそうで、薦められて試している学生も多くいました。
その後、危険な植物の観察やきのこ採取をしながら、山中寮へ戻りました。
山中寮では、林内で採取された植物やきのこを用いた実験です。
かつて行われていた魚毒漁を実験で確かめる実験、またかつてハエトリなどと呼ばれていたキノコの効果を試す実験などに取り組みました。
キノコの実験は一晩おいてから効果を確認します。
夜には特別ゲストとして、ハチの生態に詳しい昭和大学の萩原先生に来ていただいて、ハチへの接し方を考える基礎となる様々なお話をいただきました。
人を指すハチは実はそれほど多くないこと、ハチの毒自体はあまり強くないこと、怖いのは人の体の反応でこれが人によって様々であることが、詳細なデータや経験談を交えてわかりやすく解説していただきました。

2日目は、まずピットフォールトラップの結果を確認。
去年はなかなか大物が掛かっていたので期待したのですが…、今年は残念ながらおめあての地表徘徊性昆虫は見つかりませんでした。が、ムカデなど、人に危害を加える可能性のある虫が確認できました。
最後のプログラムは、実習で使った魚や植物、付近のキノコを使った調理実習です。
中でも地蜂の巣から「蜂の子」を取り出す作業が手間がかかって大変でした。
恵那農業高校の皆さんに指導いただきながら、丁寧に、そして時に大胆に取り出していきます。
この作業を「ヘボ抜き」というのだそうです。
味噌汁用に山中寮の付近に発生していたヌメリスギタケモドキ、ウスヒラタケを採取してもらいました。
実験に使ったニジマスは炭火で焼いて、サンショウの実をすりつぶして作った田楽味噌を塗ってさらに炙って、焼き魚田楽として美味しくいただきました。
最後に、昼食を食べながら、全国地蜂連合会・顧問の立教大学・野中先生に昆虫食のいま・未来について、文化の大事さに触れながらお話しいただけました。
危険生物という切り口ながら、我々の自然に対する文化にも考えを広げる学習の機会になったのではと思います。

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